実験の裏付け2014

森林文化アカデミーでの面内せん断試験結果報告(2014年)

平成26年10月22日(水)・23日(木)に、岐阜県立森林文化アカデミー・オープンラボ(岐阜県美濃市曽代88)において行いました、TIP構法耐力壁の面内せん断試験の結果を報告いたします。

筋かいのみ【実験壁倍率:3.76】

TIP構法では、筋かいは端部にすきまを設けて、三角形のガセットプレーで接合します。すきまを設けることにより、地震で揺れた時に筋かいが折れたり、柱の引き抜き、桁の突き上げが起きたりすることを防ぎます。

下地板斜め張り【実験壁倍率:1.09】

TIP構法では下地板を斜め45度に張ります。下地板一枚一枚がそれぞれ筋かいの役割をします。その結果斜めに張った下地板とガセットプレートの相乗効果で、水平に張った場合に比べてはるかに大きな強度と粘り強さを発揮します。一部の下地板が柱と土台、柱と桁をつなぐので、地震の横揺れだけでなく縦揺れにも強くなります。

筋かい+下地板斜め張り【実験壁倍率:5.31】

TIP構法の標準的な筋かい入りの耐震壁です。筋かい・下地板の斜め張り・ガセットプレートの相乗効果で強度と粘り強さが著しく増大します。 地震の大きな力を受けても粘り強さで倒壊しません。

窓開口【実験壁倍率:1.50】

TIP構法の窓開口は四隅にガセットプレートを用い、下地板を斜めに張ります。ガセットプレートによって柱と土台、柱と桁がほぼ90度に保たれ、安定した構造となり変形が少なくなります。窓開口のある壁は法令上耐震壁ではありませんが、かなりの耐力がありました。

*面材は地震で揺れた時に一度破断すると軸組みは元に戻りませんが、TIP構法の下地板の斜め張りは元の状態に戻る復元力があります。

参考:構造用合板 厚さ9mm・釘N50@150mm の実験壁倍率は2.8で、法令では倍率2.5となります。
(出典:㈶日本住宅・木造技術センター『木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008年版)』参考資料1)
*下地板15mmの試験体は、厚みを増やしたにもかかわらず、ほとんど変わりませんでした。