実験の裏付け2000

日本住宅・木材技術センターでの実験(2000年)

平成12年の11月29日30日の2日間、協会本部は日本住宅・木材技術センターの試験研究所に依頼して、TIP構法耐震壁の面内せん断試験を行いました。


試験を実施した住木センターの試験研究所

れは平成12年6月の建築基準法の改正による仕様規定により、この構法が告示1460号(木造の継手及び仕口の構造方法を定める法)に抵触することになったので、「TIP構法による筋かい端部の接合が基準法と同等以上」という評価を得ることが急務となったためです。

そこで、上西会長の指揮のもと、会員の白門建設興業㈱の協力を得て前日から試験体を製作、当日は、協会本部からは技術スタッフである山本、井下田が参加しました。


A: 45×90筋かいのTIP構法耐力壁の
面内せん断試験試験体図面

B:筋かい端部は鉄板で補強したガセット
プレートで柱及び横架材(土台・桁)に接合

この試験方法は、Bでみると良くわかるのですが、右上のオイルジャッキで梁の小口の中央に水平に力を加えていくというものでした。

一つ目の試験体は住宅の骨組の中にある耐力壁軸組の一つで、45×90筋かいが取り付けられています。45×90筋かいは、筋かいプレートBP-2を使用する様、告示で決められています。これを鉄板補強ガセットプレートに置き換えても良いかどうかを確かめるための実験ですが、結果的には差支えないことが確認されました。


C:外部に面した部分は外側を緑色に
着色したガセットプレート

D:ガセットプレート内側は鉄板貼。
クリアランスのある筋かい

但し、「基準法と同等以上」というためには、次の6つの条件を満たすことが必要になります。

(1)軸組は水平力対応型の軸組とする。
(2)横架材は胴差の成を180mm以上、桁の成を150mm以上とする。
(3)ガセットプレートは鉄板補強ガセットプレートとする。
(4)筋かい端部のクリアランスは約15mmとする。
(5)筋かい端部の接合用釘はN50またはCN50とする。但し、自動釘打機を使用する場合はN50相当釘またはCN50相当釘とする。
(6)筋かい端部の接合用釘の本数は1ヵ所あたり18本以上とする。

従来の仕様でも耐震強度は充分ありますが、建築基準法が厳しい方向に改正されましたので、これに合わせてTIP構法もレベルアップしました。


E:ラス下地板張のTIP構法耐力壁の
面内せん断試験試験体図面

F:ラス下地板張の試験風景

もう一つの試験体は、これも耐力壁軸組の1つですが、この場合は筋かいは入っていません。外壁仕上げのための下地板が取り付けられたもので、通常は水平に張るところをTIP構法では斜め45度に張っています。そのため、この耐力壁は極めて粘り強いものとなり、試験機の測定限界(柱頭の水平変位で約25cm)を超えても全く壊れませんでした。

測定終了後、荷重を0にしてからしばらく放置しておきましたが、気が付くとほぼ元の状態に戻っていました。

TIP構法は外周全てをこの方法で施工していますので、このことからも粘り強さの他に復元力も大きいことがおわかりいただけると思います。

鉄板貼のガセットプレートによる効果も色々と確認できました。

例え釘が抜けはじめる程 力を加えてもガセットプレートの表面が破れることもなく、また、釘穴も広がることもありませんでした。